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潮見表 日本
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黒マスクの男

国家権力から逃れるために

LAからティワナに来れたのは奇跡だ。

1966年3月、すでにサンフランシスコを中心に

意識改革が始まり、全米中に拡散し始めていた。

 

メキシコは逃避先としては

アメリカメインランドから一番近い安全地帯で

同じ考えを持つ者と出会うこともあった。

 

私は、より人口密度が低い場所を求めて

ユカタン半島に辿り着いた。

そこでの2年は、

先住民族の人たちから

正しい生き方を少しだけ教えてもらえたのは

最大のご褒美だった。

 

ある朝、黒いマスク姿の者が現れ

私の氏名、本籍、生年月日など

しつこく訪ねてきた。

彼のアクセントは明らかにアメリカ南部、

それも保守的なディープサウスだった。

もちろん、本名は語らず、全部適当に

答えた。男は翌朝もやって来て

「徴兵逃れは厳罰に値する。午後に向いに来るから

荷物をまとめておけ」と高圧的に言った。

俺は「わざわざ遠くから、そのために来たんですか?!!」

と無意識に返答していた。

「「わざわざ」」・・・

ご苦労なこった

 

 

私はサーフボード2台とすべての所持品、

と言っても2年前とほとんど変わらなない量の荷物、

それにルクセンブルクからサンフランシスコ経由でメキシコで

ドロップアウトしたトラベラーと

物々交換したラジオ・・・

車に放り込み、2年間を過ごした砂漠のビーチを後にした。

 

逃亡という名の旅に終着駅はないのだろうか?

 

何も考えず本能と直感だけで

小さな漁師村に向っていた。

漁師に、「どこでもいいから誰もいない島に

載せていって欲しい」とお願いした。

年老いた先住民族の漁師は

車を藁ぶき屋根の下に留めろ、言った。

私は言われるとおりに車を移動すると

その漁師は細い4本の柱を蹴飛ばすと、

藁ぶき屋根が車を覆い、見えなくなった。

これはマジシャンだね!

かくして私の痕跡は消された。

 

小さなボートに荷物を載せると

すぐに音も立てず沖に進み始める。

海は紺碧、油面のように凪いでいる。

 

老いた先住民の漁師は

沖に出ると、精悍で賢者の顔に変貌を遂げていた。

彼ははっきりと言った。

「黒いマスクの男は、悪いウイルスを細かく

植えつけている。邪念を持つ者に付く。

海を見ろ、海を感じろ、海にいろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

posted by: ozartsurf | - | 08:57 | comments(0) | - |-